iPhoneやiPadを持っていれば誰でも無料で使える「iCloudメール」。最近では「iCloudメールは使わないほうがいいのでは?」という声も増えています。
この記事では、iCloudメールのデメリットや注意点だけでなく、メリットやGmailなど代替サービスとの比較を解説します。
「iCloudメールは使わないほうがいい」と言われる理由
「iCloudメールは使わないほうがいい」という主張の主な理由は、無料プランのストレージ容量の少なさとAppleエコシステム外での使いにくさ、そして一部機能の制限にあります。
無料で使えるストレージ容量が少ない(5GBまで)
iCloudメールは他のiCloudサービスと合わせて5GBまでしか無料で利用できません。この容量にはメールのほか、写真、バックアップ、iCloud Driveのデータも含まれているため、すぐに上限に達してしまうケースが多いです。Gmailのように無料で15GB使えるサービスと比較すると、容量の少なさが明確なデメリットです。
Appleデバイス以外での使い勝手が悪い
iCloudメールはApple製品に最適化されているため、WindowsパソコンやAndroidスマートフォンで使おうとすると設定が複雑だったり、同期が不安定だったりします。GoogleのGmailはどの端末でも快適に使えることを考えると、クロスプラットフォーム性では劣っています。
迷惑メールのフィルタリングが弱いという声も
iCloudメールは迷惑メールを自動で振り分けてくれますが、Gmailのように細かくフィルタリング設定ができません。Gmailほど精度が高くなく、誤って重要なメールが迷惑メールに振り分けられることもあります。
様々な連絡先メールアドレスとして使うには不安があります。
Gmailなど他のフリーメールと比べて機能がシンプル
検索機能や自動分類、ラベル機能など、高度なメール管理をしたい人にとって、iCloudメールの機能は物足りないと感じるでしょう。Gmailのような洗練されたインターフェースや操作性がないため、使い込むには不便な面もあります。
家族と共有している場合プライバシーのリスクがある
iCloudメールはApple IDと一体型になります。家族でiPhoneやiPadを使用し、Apple IDを共有していることはありがちですが、その場合、メールのプライバシーが守れなくなったり、誤送信などのトラブルが起きやすくなります。
iCloudメールは必要か?使うメリットは?
プッシュ通知でリアルタイムにメールを受信できる
iCloudメールはプッシュ通知に対応しており、メールが届いた瞬間にリアルタイムで通知されます。Gmailなど一部のメールアプリではポーリング方式(定期的に受信確認)を採用しているため、反応の早さではiCloudメールが優れています。
設定が簡単でApple IDがあればすぐに利用開始できる
iPhoneやiPadを初期設定する際に、Apple IDを作成すると同時にiCloudメールも設定で利用できるようになります。複雑な設定を必要とせず、誰でもすぐにメールの送受信を始められる手軽さが魅力です。
広告が表示されない
GmailやYahoo!メールでは無料プランだと広告が表示されるのが一般的ですが、iCloudメールは一切広告が表示されません。シンプルで見やすく、ストレスの少ないメール環境を求める人には大きな利点です。
独自のセキュリティ機能「メールを非公開」
iCloud+に加入すると、Appleのプライバシー重視の機能である「メールを非公開(Hide My Email)」が使えます。これは、実際のアドレスを隠して一時的なメールアドレスを使える機能で、迷惑メール対策に非常に有効です。
iCloudメールを作らない場合はどうなる?デメリットはある?
iCloudメールを使わない場合、特別なデメリットはありません。
iCloudメールはApple製品向けに最適化された利便性とセキュリティといったメリットはありますが、利用しないからといって不具合があるわけでもありません。
Apple IDとしての利用に問題はない
iCloudメールを使わなくても、他サービスへの乗り換えや利用中止が難しいなど、特段の困りごとは起きません。むしろ、Gmailなどの他メールサービスはストレージ容量や機能面でiCloudメールより優れているケースもあり、乗り換えることで不便を解消できる場合もあります。
iCloudの他の機能(写真やバックアップ)は使える
iCloudメールを使わない場合でも、iCloudフォトやiCloudバックアップ、iCloud Driveといった他の機能は問題なく利用できます。iCloudメールのみをオフにしても、Appleのクラウドサービス全体が使えなくなるわけではありません。
使わないと決めたら|iCloudメールを無効化(オフ)にする設定方法
iPhoneの「設定」から「自分の名前」→「iCloud」→「メール」をオフにすることで、iCloudメールの利用を停止できます。必要であれば、設定画面からApple IDに別のメールアドレスを追加し、今後の連絡先として使用することも可能です。
ただし、iCloudメールをすでにメインで使っている場合に、使わなくなる(停止・移行する)場合の注意点は以下です。
- 登録・連携しているサービスなどでiCloudメールを使っている場合、連絡先やID変更の手続きが必要です。
Apple IDやiPhoneのバックアップ、App Store、有料コンテンツの購入履歴など、iCloudメールアドレスをIDとして利用している場合は、別のメールアドレスへ移行するか、引き続きiCloudメールを受信できる状態にしておく必要があります。 - Apple PayやiTunes・App Storeの決済、Appleサポートなど重要な通知はiCloudメールに届くため、受信を止めるとこれらの通知を見逃す可能性があります。
このため、iCloudメールは「捨てアド」(使い捨てメールアドレス)にはしづらい側面があります。

ちなみに我が家では、iCloudメールは使わず、家族それぞれGmailアカウントを作成して使っています。iPhoneやiPadはAppleの「ファミリー共有」で管理していて、アプリの使用制限や購入の承認もiPhoneだけで完結できるのでとても便利です。
iCloudメールと他のメールサービスの比較
以下は、iCloudメール・Gmail・Yahoo!メール・Outlookメールの主要機能を比較した表になります。
「他と比べてどうなのか?」の参考にしてください。
項目 | iCloudメール | Gmail | Yahoo!メール | Outlookメール(Microsoft) |
---|---|---|---|---|
無料ストレージ容量 | 5GB(iCloud全体と共有) | 15GB(Google全体と共有) | 2GB〜10GB(使用状況により増加) | 15GB(OneDriveと一部共有) |
広告表示 | なし | あり(プロモーションタブ等) | あり(画面上部など) | あり(画面右側など) |
添付ファイルの最大サイズ | 20MB(MailDropで5GB可) | 25MB(Drive経由で大容量可) | 20MB | 25MB(OneDrive経由で大容量可) |
プライバシー対策 | メールを非公開(iCloud+の場合) | 高度なスパム対策とAIフィルタ | フィルタ設定は可能 | フィルタ・ルール機能あり |
Apple製品との相性 | ◎(標準アプリと連携) | ○(Gmailアプリあり) | ○(Yahooメールアプリあり) | ○(Outlookアプリあり) |
他OS・他デバイス対応 | △(Android・Winで設定が複雑) | ◎(全端末で安定動作) | ◎(ブラウザ・アプリで対応) | ◎(全端末で安定動作) |
有料プランの有無 | あり(iCloud+) | あり(Google One) | あり(LYPプレミアム等) | あり(Microsoft 365) |
iCloudメールでよくあるトラブルの原因と解決策
iCloudメールが届かない・受信できないのはなぜ?
よくある原因は、iCloudストレージの容量がいっぱいになっているケースです。メール以外のデータがストレージを圧迫していると、新しいメールが受信できなくなります。また、迷惑メールフォルダに自動振り分けされている可能性もあります。
iCloudメールを送信できない時のチェックポイント
送信トラブルの多くは、インターネット接続の問題や、メールアドレスの入力ミスによって起こります。また、Appleのサーバー側の障害や、一時的な認証エラーの影響も考えられます。
iCloudのストレージがいっぱいです、と表示されたらどうする?
ストレージ不足の通知が出た場合は、不要なメールや添付ファイルを削除するほか、iCloud+に課金して容量を増やす方法があります。メールだけでなく、写真やバックアップの見直しも容量確保に効果的です。
iCloudメールは使わない方が良いのかまとめ
iCloudメールは、Apple製品との相性が良く、広告のないシンプルな環境や独自のセキュリティ機能が魅力ですが、ストレージ容量の少なさや、Apple製品以外での使いにくさ、機能のシンプルさなど、使い方によっては不便に感じる点も多くあります。
- Gmailのような検索性・カスタマイズ性を求める
- AndroidやWindowsとの併用をしている
- 迷惑メール対策やストレージに余裕がほしい
という場合には、最初からiCloudメールにこだわらず、他のメールサービスを選ぶことで、もっと快適に運用できます。